No.2


 国内では「世界の腕時計」、「IWW」、「Watch a gogo」、「時計ビギン」などなど有名な時計雑誌が数多くありますが、入手しやすくまたあまり知られていないと思われる本を紹介させて頂きます。

 「BASEL WATCH YEAR BOOK 1972-1997」

 実は「世界の腕時計」で有名なワールドフォトプレスさんのムック本なのですが、1972年から1997年までのバーゼルフェアで発表された時計の解説と白黒写真が掲載されています。

 この本はなんといってもその資料的価値につきます。当時雑誌を読んでも見逃していた時計や、全然知らなかった時計も発表当時の解説で知ることが出来ます。

 この本の続編で、ぜひ「ジュネーブサロン」の歴史も1冊の本として作成して欲しいです。

「時計図鑑’97」

 1997年までは日本でもWATCH INTERNATIONALのような本(といっても翻訳書的なものですが...)が出版されていました。当時発売されていた時計とムーブメントが写真・解説付きで掲載されています。

 もう手に入りにくいかもしれませんが、コレ1冊だけでもかなり勉強になりますので、非常によい資料といえると思います。

 家庭画報特選ということで、世界文化社さんから出版されていました。

「THE SEIKO BOOK & THE OMEGA BOOK」

 徳間書店さん出版の時計関係のムック本です。このほかに「THE BREITLING BOOK」も出版されていたと思います。

 内容はかなりマニアックで、両書とも資料的写真も豊富なうえ年表による型番の整理もされているので、型番から製造年代を推定する資料としても重宝します。

 特に「THE SEIKO BOOK」のほうは、この本以外にはトンボ出版さんの専門書くらいしか資料的な本が見あたらないため、まさに国産マニアの入門書的な存在といえるでしょう。

「グリーンアロー出版さんの時計関係本 」

 「ポケット・ウオッチ物語」
 「オメガ スピードマスター」
 「至高のパテックフィリップ」

 などなど、グリーンアロー出版さんの時計関係の本は、時計好きの琴線に触れる微妙なところをついています。中でもおすすめは小島健司さん著の「ポケットウオッチ物語」です。

 懐中時計に関する国内の資料が圧倒的に少ないと言うこともありますが、本の中で紹介されている懐中時計の写真も非常に勉強になり、しかもコレクションの仕方まで巻末の方で説明されています。

 グリーンアロー出版さんには、是非今後もこういうマニアックな本を出していって欲しいと思います。

「機械式時計の名品」&「時計王」

 最後に大御所の著書を2冊。

 1冊目は大安堂本店の店主として有名な栗崎賢一さんの「機械式時計の名品」です。まさに書きたいことを書かれたようなエッセイなのですが、本の中に出てくる時計の趣味の良さと、その毒舌的な解説がとても面白いです。また、巻末のムーブメントの写真とその変遷年表も、独自の解釈で書かれており、とても参考になります。

 2冊目は世界中の時計ブランドと交流のある松山猛さんの「時計王」です。こちらも以前雑誌などに書かれたエッセイをまとめた物ということですが、まったく独自の取材で変わった観点から書かれた記事が非常に興味深いです。ただ残念なのは、「松山猛が選ぶ20世紀傑作時計20本」が各ブランドの機嫌をとるためなのか、まんべんなく選んであることでしょう。

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